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2011年1月

2011年1月 1日 (土)

新年明けましておめでとうございます★2011年★卯

2011_2

「 うさぎのダンス 」

くろいうさぎとしろいうさぎがいました。

ふたりは遠くからお互いに見つめるだけで、ずっと様子をうかがっていました。

しろいうさぎは女の子うさぎ、怖がりで臆病だったのでくろいうさぎの事を悪魔のようだと思いました。

しろいうさぎは時々怖い夢を見て追いかけられました。

くろいうさぎが走る姿がそれにそっくりだったのです。

くろいうさぎの方はやんちゃな男の子です。

くろいうさぎの兄弟はみんな黒色だったので、しろいうさぎを珍しいと思っていました。

なんとかして近づきたくて気を引く為に走ったり踊ったりしていました。

しかし白うさぎはいつも遠くからじっと見ているだけで近寄って来てはくれません。

そんな事が何日も続くと白うさぎは安心したのかくろいうさぎの事が怖くなくなりました。

それどころかおどけた様子が面白く、いつの間にかだんだん近づいていました。

もっと近くで見るとくろいうさぎはとても素敵に見えました。

くろいうさぎはしろいうさぎの赤い目を可愛いと思いました。

いつの間にかふたりは手が届くくらい近づく事が出来るようになりました。

くろいうさぎはしろいうさぎの前でダンスをすると紳士のように一緒に踊りませんかとしろいうさぎを誘いました。

しろいうさぎは頬を染めてそっと前に出ました。

くろいうさぎが踊るのを真似ておずおずと踊ってみたのです。

ダンスを始めると楽しくて止まらなくなりました。

ふたりは暫く踊り続けるとすっかり仲良しになれました。

こんなに楽しかったことはふたりにとって初めてだったのでまた明日も踊る約束をしました。

いつの間にかふたりのうさぎは恋人同士になっていました。

くろいうさぎはしろいうさぎを一生大切にしました。

子供もたくさん生まれてみんな巣立っても しろいうさぎの事を守るのは自分の役目だと思いました。

ふたりはとても愛し合っていたのです。

それでも寿命という命の時間は限られていたのです。

しろいうさぎはだんだん衰弱していきました。

くろいうさぎが出来ることはありませんでした。

ある日しろいうさぎが言いました。

「 ダンスをありがとう、そしていつも愛していると言ってくれてありがとう。 私は安心してその言葉を胸に旅立てます 」

 

しろいうさぎはそういうと赤い目を閉じて静かに眠りにつきました。

くろいうさぎは悲しくて寂しくておいおい泣きました。 

自分が半分引きちぎられてしまったように心もとなくなりました。

ずっとふたりだったのがひとりぼっちになりました。

くろいうさぎはそれでも生き続けました。

しろいうさぎが言った最後の言葉に救われたから、しろいうさぎの分も精一杯生きてあげようと思ったのです。

あいしているよと言ってあげて良かった、そう言ってあげていなかったら今頃後悔して悔やんでいただろうと思いました。

それから何日も過ぎ、何カ月、それとももう1年が経った頃でしょうか・・・

くろいうさぎは自分がもうすぐ旅立つ日が近いことを知っていました。

時々夢の中でしろいうさぎが現れて すぐそばでほほ笑んでいました。

そして何回目かに しろいうさぎがくろいうさぎに手を差し出して言いました。

「 これからはまたあなたと踊ることが出来るわ、さあ私と一緒に行きましょう 」

くろいうさぎはほっと吐息をつきました。

しろいうさぎが自分の事を長い間待っていてくれたのを知ったのです。

ふたりはいつかのようにダンスを始めました。

とても楽しかった思い出がよみがえり、それは姿が見えなくなるまで続けられました。

くろいうさぎとしろいうさぎ、これからはずっと永遠に一緒です。

(おしまい)

イラスト・おはなし / こいでみほ

新しい年2011年に福がきますようにbudheart02

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